やられ損。本当に悔しいと思う。

9月22日に入居するビル1階の店舗から出火し、3階と5階の「鬼そば 藤谷」に

被害が出た。

 

換気ダクトや電気系統が焼け、営業再開の目処は立っていない。

その間にも従業員への支払などもあったが、火元から「全然補償がなかった」

のだという。

 

「もらい火」なのに補償がない。

実は火災には、ある特別な法律が存在する。

「通常、他人の権利や財産を、故意または過失によって毀損した場合は、

毀損した人が賠償責任を負うということになるが、『失火責任法』という

それとは別の法律がある。

重過失で火を出さない限り、民法709条の賠償責任を負わなくていいという

特別法がある。

失火責任法は明治32年(1899年)にできて、それから変わらず

今まで続いている法律」(中川みち子弁護士)

 

民法709条では、相手の不法行為によって損害を受けた場合、相手に損害賠償請求が

できるとしている。

しかし火災は、火元の重大な過失によるものでない場合、賠償責任を負わなくても

いいと定められている。

つまり、通常の火事での「もらい火」では、損害賠償を請求できず、

中川弁護士は「火災保険などで対応するのが一般的」と説明する。

 

しかしHEY!たくちゃんは、4年前からの多忙と、コロナ禍を理由に、

火災保険に入っていなかった。

「そろそろもう一回入らなきゃいけない」と思っていた時期に忙しくなり、

更新を忘れていたと、経緯を振り返る。

 

HEY!たくちゃんは現在、火災にあった2店舗の解約を検討している。

新たな店での営業再開を目指して、クラウドファンディングで資金を募っているが、

期待するほど集まっていないという。

 

賠償責任を問える「重過失」とは、どういった状態なのか。

中川弁護士は「わずかな注意さえしていれば、火災の発生することが予想できた。

にもかかわらず、著しく注意を欠いて、火を出してしまった場合」と通説を紹介する。

 

中川弁護士は、具体例として、天ぷら油を火にかけたまま、長時間台所を

離れてしまって引火した。対処を講じないまま、寝たばこで火事になった。

火の付いている石油ストーブに灯油を入れて引火したなどを挙げ、

「かなり不注意の度合いが高いものしか、重過失とは扱われない」と説明する。

 

これまでの「鬼そば 藤谷」の店舗は解約するため、店にある荷物を回収したが、

HEY!たくちゃんは「7割ぐらいはススだらけで、ほぼ使えない。捨てるのが

悲しかった」と語っている。

「もう全部払ったので、恥ずかしいことに、すっからかん。本当にやばい。

毎日どうやって生きていこうかと……」(HEY!たくちゃん)

 

火災保険にさえ入っていればこんな事にはならなかっただけに、やられ損状態。

これからまた営業再開準備するだろうが、何をするにしてもお金はかかる。

悲惨な事態に同情します。